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Atelier Spike

象徴と消費 ー「鳥の巣」と「ワールドトレードセンター」と「在水一方」

投稿日時:2009/10/11(日) 16:59

 猛威を振るった台風18号もさり、またいつもと変わらぬ日常が戻ってきました。今では、ニュースでその被害に関するレポがちらほらある感じでしょうか。地元茨城県では、土浦の台風による被害がまざまざと映し出されていて、とても人ごととは思えません。


 そんな中、少し考えたことを書きたいと思います。

 現在新潟市では、「日本海政令市にいがた 水と土の芸術祭2009」(*以降、水土)が開催されています。この芸術祭は、新潟市全域を舞台に、70以上の作品が展示されています。ディレクターは、大地の芸術祭でおなじみの北川フラムさんです。

 

 そのなかのひとつに、台湾出身の芸術家・王文志さんの「Water Front 在水一方」という作品があります。信濃川の下流のやすらぎ堤に設置されていて、竹を編んで作られた高さ12mほどの鳥かごのような造形のこの作品、中に入ると竹の間から差し込む柔らかい光に包まれながら子宮の内部のような不思議な感覚を体験することができ、知名度と人気ともにダントツではないでしょうか。

 

 新潟ローカルテレビでも、水土のCMに使われるなど、「水」と「土」という芸術祭のテーマをよく表している象徴的作品でもあります。しかし個人的には、象徴としてCMで繰り返し放映されることによって、芸術祭自体の消費ということを暗示しているように思いました。これは北京オリンピックにおける「鳥の巣」のように、世界経済に大きな影響を与える世界的規模のイベントの象徴として、様々なメディアで消費されていく様子を思い出さずに入られませんでした。


 また、そんな「在水一方」ですが、先日の台風によって崩壊してしまったのです。その様子は台風の威力を物語る象徴として何度もテレビで放映されていました。これは、「ワールドトレードセンター」の崩壊の様子がリアルタイムで、または繰り返し放送されることでその衝撃をありありと伝える象徴として消費されていったことも思い出され、個人的にはこれからの芸術祭に暗い影を落としたように感じました。


 

 皮肉にも「在水一方」は、台風という自然の猛威による作品自体の崩壊によって、「水」と「土」という芸術祭のテーマと、「水」と「土」との闘いという新潟の歴史を、二重の意味で象徴することとなってしまったのです。しかも王さんの故郷台湾は、8月上旬の台風8号よって過去50年間で最悪の被害を受けており、新潟でも募金活動が行われている最中の出来事でした。

 個人的には、この芸術祭について卒論を書いているので思い入れもあり、市民が新潟巡りをしながら気軽に現代アートにふれる機会を与えてくれたその功績は大きいと思います。また、今回の出来事により「水」と「土」というテーマの妥当性が証明されたとも思うので、これからも継続していって欲しいと思います。市民サポーターとしての活動や、卒業研究、募金活動などなにがしかで尽力していきます。


 といったところですが、なにしろ文才というものがあまりない上に、知識としても不十分であるためつぎはぎ感はいなめないですが、書いてみました。ご感想やお叱り、励まし等頂けたら幸いです。

 

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